インターロッキング
施工要領
概説
インターロッキングブロック舗装が十分な機能を発揮するためには、適切な構造設計のもとに、路床、路盤、排水、端部拘束
およびブロック敷設などの施工が正しく行われることが必要である。
解説
路床・路盤などの施工は,通常のアスファルト舗装やセメントコンクリート舗装に準じて行うものとし,本要領では主にインターロッキングブロック層の施工を取り扱う。
インターロッキングブロック層の施工は図1に示すフローに従う。施工に際しては騒音や振動をできるだけ防止して,施工現場周辺の環境に配慮することが必要である。
事前調査および施工基盤の確認
事前調査
工事を安全、円滑かつ経済的に行うために、現場の状況、関連工事の進捗状況、全体工事計画などを十分調査し、インターロッキングブロック舗装の施工に適した計画をたてる。
解説
(1)事前調査は次の事項に留意して行う。
- 1)仕様書、設計図などの設計図書の確認
- 2)騒音、振動、交通、道路占有などの規制の法令、条例などの調査
- 3)工事に使用する動力、光熱、水などの調査
- 4)インターロッキングブロックの搬入に必要な道路の使用規制
- ①沿道の状況と大型車通行の規制
- ②搬入路の支持力、幅員、交通量
- ③商店街、スクールゾーンなどの搬入時間の制限
- 5)施工現場のマンホール、街路灯、防護柵などの構築物の確認
- 6)工事に使用する材料、機械、残材などの置場の確認
(2)工程を計画する際には次の事項に留意し、無理のない計画をたてる。
- 1)施工計画
- ①割付け図、仕様書などの確認
- ②主要な段取り、使用機械の選定、手配、インターロッキングブロックの機械化施工の検討
- ③施工面積、気象条件を考慮した合理的な日程計画の策定
- ④材料の搬入、受入れ、保管
- ⑤人員の配置や作業標準の確認
- ⑥品質管理や出来形管理体制の構築
- 2)調達計画
- ①現場の状況(路盤、縁石工事などの進捗状況および敷設面積)をよく把握した労務計画、材料の搬入計画の策定
- ②工事工程に従った機材の調達計画の策定
- ③構築物の有無や敷設パターンの難易度による作業効率をよく検討したうえでの、労務計画の策定
施工基盤の確認
路床,路盤,付帯設備などは,通常のアスファルト舗装やセメントコンクリート舗装の場合と同様に仕上げる。また,横断勾配は,歩道と車道の場合は2.0%程度とし,その他では適用場所に応じて0.5−2,0%とする。
解説
インターロッキングブロック層の施工に先立ち、路床、路盤、また付帯設備、横断勾配などが正しい高さや縦、横断形状を有し、所定の支持力や平たん性が十分に確保されていることなどを確認する。以上の確認作業において異常が発見された場合は、それぞれの施工者の責任において修正を行う。
(1)路床の確認
- 1)路床は正しい仕上がり高さ、横断形状、縦断形状を持ち、かつ、インターロッキングブロック舗装の設計の際に計画した支持力を均一に有していなくてはならない。
- 2)車道舗装における路床の支持力は、必要に応じてFWDまたは小型FWDによって確認する。
- 3)路床の仕上がり高さが正しく確保されていることを確認する。
(2)フィルター層の確認
- 1)フィルター層は,雨水が路床へ浸透する際のフィルター機能と,路床土の細粒分の上昇や粒状路盤材料の細粒分の流出を防止する機能を有していなければならない。
- 2)砂を使用する場合,砂層の厚さが正しく確保されていることを確認する。
- 3)ジオテキスタイルを使用する場合,重ね幅が正しく確保されていることを確認する。
(3)路盤の確認
- 1)インターロッキングブロック舗装の路盤は,路床の場合よりもさらに高精度の仕上がり高さ,厚さおよび支持力と,それらの均一性が必要とされる。
- 2)交通区分がIL4(交通量の多い道路)及びIL3(交通量の少ない道路)では車道(IL3,IL4)の構造設計および駐車場(IL3)の構造設計に従い,上層路盤完成後,FWDなどによって支持力を確認する。
その結果,目標値よりも支持力が不足する場合は,再度締固めを行うか不良材料の置き換えなどの対策を実施しなければならない。 - 3)一層の仕上がり厚さは、下層路盤の場合は20cm、上層路盤の場合は、粒度調整路盤では15cm、アスファルト安定処理路盤では10cm以下を標準とする。
- 4)路盤の仕上がり面は,舗装面の設計基準高さからインターロッキングブロック厚さと敷砂厚さの合計を差し引いた高さに仕上げる。車道の場合は,10cm(インターロッキングブロック厚80mm+敷砂厚20mm),歩道の場合は,9cm(インターロッキングブロック厚60mm+敷砂厚30mm)とする。
(4)付帯設備の確認
インターロッキングブロック層の施工では、マンホール、縁石、ガードレールなどの付帯設備が事前に設置されている場合が多い。
これらの付帯設備が正しい位置に所定の高さで設置されていないと適切な敷砂厚とならず、付帯設備との間に段差が生じるなどの欠陥が生じる。
そこで、施工に先だち、以下に示す付帯設備の設置状況を確認し、必要に応じて修正を行う。
- 1)マンホールや縁石が正しい高さに設置されていない場合は、勾配に留意して所定の高さに設置しなおす。
- 2)縁石の基礎がインターロッキングブロックに当たる場合は、当たらない高さまで削りとる。
- 3)集水耕が所定の高さに設置されていない場合は,勾配に留意して所定の高さに設置しなおす。
- 4)付帯設備の周囲の路盤の締固めが不足している場合には、付帯設備の周囲を再度入念に締め固める。
(5)横断勾配の確認
インターロッキングブロック舗装の横断勾配は適用場所に応じて0.5−2.8%が標準となる。敷砂の厚さを調整して勾配を確保すると沈下や不陸などが発生し,インターロッキングブロック舗装の破損の原因となるので,勾配は必ず路盤面で確保することを原則する。
インターロッキングブロックの敷設
敷設準備
敷砂やインターロッキングブロックの敷設に先立って、施工に必要な機械器具の点検整備を行い、計画どおりに施工が行えるように敷設の準備を行う。
解説
敷設準備は,施工に用いる機械や工具,材料置き場や材料の搬入路などを確認する。インターロッキングブロック層の標準的な施工機械と工具を表1に示す。
注:スマートフォンで閲覧の場合、表1 施工機械と工具は横にスライドいたします。
工程 | 施工機械および工具 | 用途 | ||
---|---|---|---|---|
インター ロッキング ブロック層 |
敷砂層 | 敷砂のレベル出し | 巻尺(L=3~5m、30~50m) 測量機器 水糸 |
丁張りの設置 仕上がり高さの設定 |
敷砂の敷きならし | タイヤショベル 小型ローダ |
敷砂の運搬 敷砂の小運搬 |
||
アスファルトフィニッシャ | 機械による敷砂の敷きならし (大規模工事に使用) |
|||
ならし板(90mm×25mm×2500mm) パ イ プ(パイプ径=15~25mm L=1.8~2.0m) |
人力による敷砂の敷きならし | |||
タイヤローラ プレートコンパクタ | 敷砂の締固め | |||
インター ロッキング ブロック |
インターロッキングブロックの敷設 | 直角定規 | インターロッキングブロック敷設の直角出し 90°,45°張りの角度設定 |
|
フォークリフト カート |
インターロッキングブロックの運搬 インターロッキングブロックの小運搬 |
|||
ブロック敷設機(施工機械) 注 | インターロッキングブロックの運搬・敷設
|
|||
インターロッキングブロックの カッティング |
インターロッキングブロックカッタ | インターロッキングブロックの標準切断
|
||
ダイヤモンドカッタ | インターロッキングブロックの精密切断 | |||
目地調整 | あて木,ハンマ(木,ゴム,プラスチック) | インターロッキングブロックの目地調整 | ||
目地砂充填 | 一輪車 | 目地砂の小運搬 | ||
デッキブラシ、ほうき | 目地砂の充填 | |||
インターロッキングブロックの 締固め |
ブロックコンパクタ タイヤローラ 振動ローラ(ゴム巻きタイヤ) |
インターロッキングブロックの締固め (大規模工事に使用) (大規模工事に使用) |
||
清掃 | デッキブラシ、ほうき | 余分な目地砂の回収、清掃 |
注:大規模な施工現場で、使用するブロックが単色であるなど、機械化施工の条件に合致する現場で使用することができる。
端部拘束
荷重分散性能の確保と,交通荷重によるブロックの水平方向への移動によるインターロッキングブロック舗装の破損を防止する目的で,端部拘束物を上層路盤に設置する。
解説
インターロッキングブロック舗装の端部拘束は、以下の方法で行う。
(1)歩道の場合
歩道の端部拘束には,地先境界ブロックや歩車道境界ブロックなどを用いる。また,芝生や土舗装などとの境界ではプラスチックや金属製の端部保持材を使っても良い。
(2)車道の場合
車道にインターロッキングブロック舗装を適用する場合,路肩はL型側溝などの構造物で拘束し,アスファルト舗装など他の舗装との境界部分の端部拘束には原則としてプレキャストコンクリート製品を用い施工するが,場合によっては現場打ちコンクリートを用いることもある。なお,プレキャストコンクリート製品によって端部拘束を行う場合には,プレキャストコンクリート製品の接合部(目地)が車輪の通過位置に配置されないようにすると良い。
排水処理
インターロッキングブロック舗装の表面排水や地下排水を円滑に行うため、排水処理を施す。
解説
排水処理が適切でないとインターロッキングブロック舗装の耐久性に影響をおよぼすことから,路肩の排水施設が計画どおりに設置されていることや,敷砂層や路盤の排水処理が設計どおりに施工されていることを確認する。敷砂層の排水が適切でないと敷砂の支持力が失われ,インターロッキングブロック層の不陸の原因となるため特に重要である。
レベル出し
インターロッキングブロック舗装を所定の高さに仕上げるために、レベル出しを行う。
解説
インターロッキングブロックの仕上がり高さが,縁石や境界ブロックの天端より低い場合には,縁石や境界ブロックの側面に仕上がり高さの墨だしを行う。施工面積が広く墨だしができない場合には,丁張りを設置し,水糸を張ってインターロッキングブロックの仕上がり高さを設定する。
ジオテキスタイルの敷設
敷砂の路盤への侵入を防止するために,必要に応じて路盤上にジオテキスタイルを敷設する。
解説
透水性舗装の場合や,上層路盤に穴をあけて排水処理する場合などは,雨水の浸透に伴って敷砂が路盤内に流失する恐れがあるため,路盤上(敷砂の下面)にジオテキスタイルを敷設する。
敷砂層の施工
敷砂は受入れ時にその品質や量を目視または試験成績証によって確認する。敷砂は必要な厚さで路盤上に敷ならし,均一な密度になるように締め固めて,所定の高さに仕上げる。
解説
敷砂層は、次の点に注意して施工する。
- (l)敷砂の品質はインターロッキングブロック舗装の供用性に大きく影響する。そこで 受入れの際には目視または試験成績証により敷砂の品質や量をよく確認する。
- (2)敷砂の保管に際しては、ごみや泥などの混入、雨水等によって砂の含水比が変化することを防ぐためにシートで覆うなどの処置を講じる。
- (3)敷砂の敷きならしを行う前に、路盤上の浮き石や小石など取り除くとともに、路盤面に不陸や障害物がないことを確認しておく。
- (4)舗装の勾配は必ず路盤面でとることとし、敷砂の厚さで勾配を調整してはならない。
- (5)敷砂は小型ローダや一輪車などで小運搬し,適当な間隔で路盤上に仮置きする。この場合,敷砂を1箇所に多量に仮置きすると,仕上がり後の砂の密度に差が生じ不陸などの原因となるため,少量を多くの箇所に分散して配置する。
- (6)舗装面の設計基準高さからインターロッキングブロック厚を引き,これに敷砂の余盛り厚を加えた高さを基準にして水糸を張り,敷砂の仕上げ高さを決める。(余盛厚とは締め固めによって敷砂が圧密されて沈下する量と,インターロッキングブロック敷設後に行うインターロッキングブロック層の締め固めによってさらに敷砂が圧密されて沈下する量を見込んだ厚さ。)
- (7)(7)歩道における敷砂の敷きならし厚は,仕上がり厚に余盛り厚を加えた厚さ(30+5mm程度)とする。車道における敷砂の敷きならし厚は,仕上がり厚に余盛り厚を加えた厚さ(20+3mm程度)とする。
- (8)敷砂敷きならし後,歩道の場合は一般的にプレートコンパクタで締め固めを行う。車道の場合はプレートコンパクタで締め固めた後にタイヤローラなどで締め固める。
- (9)敷砂として使用する砂の種類や含水状態,インターロッキングブロックの大きさによって余盛厚は変わるのであらかじめ小さな面積で試験を行って余盛厚を決めると良い。
- (10)フラッグタイプのように大版のブロックを使用する場合目しブロックを敷設した後は十分締め固めることが難しいため,余盛厚を小さめにすると良い。
- (11)広い面積を短期間で敷設する工事の場合,アスファルトフイニッシャによる敷きならしは,施工性も良く経済的にも有利である。
- (12)敷砂の仕上げ高さを設定するためによく用いられるパイプによる方法を以下に示す。
- 1)パイプはならし板よりもやや短い間隔で締め固めた敷砂の中に埋め込む。この場合,周囲の敷砂を乱さないように注意する。
- 2)ならし板をパイプ上に沿わせて移動させ・敷砂を平らにならす。
- 3)インターロッキングブロックを敷設する際には・パイプを外した部分に敷砂を補充する。このとき,十分に敷砂を充填しないとインターロッキングブロックの敷設後に,パイプが設置されていたラインに沿ってブロックが沈下することがあるので注意する。
- 4)パイプの長さ分だけ敷砂を敷きならしたら,パイプを外して次の位置に正しくパイプを設置する。
インターロッキングブロックの受け入れ
施工者は,平面設計で定めたとおりの種類,形状,寸法,厚さ,表面仕上げおよび数量のインターロッキングブロックが納入されていることを確認する。
解説
施工者は、ブロックの受け入れの際には、次の点に留意する。
- (1)ブロックの受け入れは施工計画に基づいて行い、搬入の日時や場所などを協議したうえで決定する。
- (2)インターロッキングブロックの受け入れに際しては,平面設計で定めた種類,形状,寸法,厚さ,表面仕上げおよび数量のインターロッキングブロックが納入されていることを確認する。
- (3)インターロッキングブロックの外観については,有害なきず,ひび割れ,欠け,変形などの損傷がないこと,および定められた色調や表面テクスチャであることを目視により確認する。
- (4)落下や転倒の危険防止のため、搬入されたパレットを積み重ねる場合には2段までとする。
- (5)現場で保管中のインターロッキングブロックに白華や汚れが生じることを防止するために、ビニール掛けを行う。
インターロッキングブロックの敷設
インターロッキングブロックは、平面設計に基づく割付け図に従って敷設する。
解説
(1)基準点の設置
割付け図をもとに,インターロッキングブロックを敷設し始める基準点を設置する。この基準点はできるだけ長い直線で設置されている縁石などの一点が望ましい。
(2)基準線(目地ライン)の設定
基準線は、基準点を通り直交する二本の基準線を水糸で設定する。なお、基準線の設定にはできるだけ大きな直角定規やトランシットを用いる。
(3)複数の箇所からインターロッキングブロックを敷設する場合
インターロッキングブロックの施工は,一方向から敷設して舗装を完成させるのが一般的である。ただし,車場や広場などのように施工面積が広い場合や,工期短縮を図る場合は数箇所に工区を分け,複数の位置からインターロッキングブロックを敷設することがある。この場合は,正確に基準線を決めることがより重要となる。
(4)人力によるインターロッキングブロックの敷設
人力によりインターロッキングブロックを敷設する場合は,インターロッキングブロックを一旦既設インターロッキングブロックに強く押しつけてから垂直に下ろす。この際,既設の最前列のインターロッキングブロックには足を乗せてはならない。
(5)機械によるインターロッキングブロックの敷設
施工現場の面積が広く,複数の色調のインターロッキングブロックを使用しない(インターロッキングブロックの色調が単色)など,機械化施工の条件が整っている場合には,インターロッキングブロック敷設機(施工機械)を用いることによって,施工の効率化が図れる。
- 1)インターロッキングブロック敷設機には数種類の機種があるが,各々の施工能力(敷設能力)は概ね200∼300㎡/日である。
- 2)インターロッキングブロック敷設機がクランプでインターロッキングブロックを掴んで一度に敷設できる1ユニットの面積はおおむね1㎡(ブロック数40−50個)程度である。
- 3)現状の機械化施工はインターロッキングブロックの敷設工程だけで,端部処理や路面表示,および敷設パターンに応じたインターロッキングブロックの組み替えなどは人力に頼ることになる。
したがって,現場の施工条件によってはインターロッキングブロックの敷設機による機械化施工を行うことで逆に施工効率が悪くなる場合もあるため,事前に綿密な施工計画をたてることが必要である。
(6)切り下げ接合部の施工方法
路面高さが大きく変化する切り下げ部分などのような箇所では,敷砂を緩やかな曲線になるように仕上げ,インターロッキングブロックを変化点の手前から徐々に滑らかな曲線になるようにすり付ける。また,フラッグタイプなどの大版サイズのインターロッキングブロックを用いて切り下げ部分を施工する場合,変化点の目地幅が大きくなるのを防ぐため,インターロッキングブロックの側面を斜めにカットして納める。
(7)電線地中化(地下埋設工事)
地下埋設のあるインターロッキングブロック舗装の管理口・点検口など蓋版は,化粧用歩道鉄蓋(インターロッキングブロック取付構造)が標準的な構造とされる場合が多いため,景観に留意した施工が重要である。敷設パターンに違和感を与えないように,枠内と枠外におけるインターロッキングブロックの形状や色も考慮すると良い。
目地調整
目地調整では目地ラインや目地幅の調整を行い,所定の目地幅でインターロッキングブロック相互を十分にかみ合わせることにより,荷重分散性能の向上と美観の改善を図る。
解説
(1)目地調整では目地ラインに治って水糸を張り,水糸からはみ出したインターロッキングブロックを木ハンマやバールなどで目地通りを確保するとともに,インターロッキングブロック舗装面全体の目地幅が均一になるように調整する。
(2)目地通りの修正方法は,縦横に直交する水糸を張り,これを基準として,水糸からはみ出したインターロッキングブロックにあて木をあて,木ハンマで叩いて押し戻す。また,水糸から引っ込んだインターロッキングブロックは,バールやドライバなどで移動させて修正する。
端部処理
舗装端部の処理は美観だけでなく、インターロッキングブロック舗装の供用性能に及ぼす影響が大きいため、正確に行う。
解説
端部の処理は、エンドブロックまたは正確にカッティング処理をしたカットブロックを使用することを基本とする。また、エンドブロックやカットブロックを使用しない場合には、現場打ちコンクリートによる端部処理を行う。マンホール周りなどでは以下の処理で行う。
- (1)フラッグタイプなどの大きな寸法のインターロッキングブロックの曲線カットには,原則としてダイヤモンドカッタを使用する。
- (2)セグメンタルタイプのインターロッキングブロックでは,カットブロックを用いる場合の最小幅は,インターロッキングブロックの長辺および短辺の寸法に対して,各々1/2以上とする。
この場合,カットブロックの隣りに正方形のインターロッキングブロックを用いて,小さなカットブロックが入らないように工夫することが必要である。
フラッグタイプのインターロッキングブロックでは,最小幅が10cm以上のカットブロックで納める。 - (3)マンホール周りの処理には,カットブロックによる処理・現場打ちコンクリートや樹脂系モルタルによる間詰め処理,平面設計の割付けに従って施工する。
- (4)端部の処理を行う場合には目地幅が過大とならないよう十分注意し,縁石やマンホール,端部拘束物や他の舗装材料との境界部分も所定の目地幅(車道舗装では3−5m)でブロックを納めることが必要である。
インターロッキングブロック層の締固め
インターロッキングブロック層の締固めは舗装面の不陸整正と敷砂の締固めだけでなく,目地砂をインターロッキングブロック表面まで充項させてインターロッキングブロック舗装の機能を十分に発揮させる ことを目的に行う。
解説
- (1)車道の場合,インターロッキングブロック層の締固めは一次締固めと二次締固めを行う。
- (2)一次締固めは主に舗装面の平たん性を得るために行い,目地砂の充填を行った後に二次締固めを行って,インターロッキングブロック表面まで目地砂を充項させる。
- (3)大型車交通量の多い道路(IL4)では,あらかじめ小型の振動ローラで締め固めた後,大型のタイヤローラによる締固めを行うと効果的である。
- (4)振動ローラによる締固めを行う場合には,インターロッキングブロックの破損(角欠け)が生じないように注意する。
- (5)歩道の場合は,インターロッキングブロック専用のコンパクタを用いる。また,歩道の場合は通常二次締固めを行わない。
目地砂の充填
目地砂の受け入れ時に品質やその量を試験成績表や目視によって確認する。目地砂の充填が不十分であるとインターロッキングブロックの移動や局部沈下などを誘発し,インターロッキングブロック舗装の破損を発生させる原因となるので,目地詰めは入念に行わなければならない。
解説
- (1)目地砂の品質はインターロッキングブロック舗装の供用性に及ぼす影響が大きいため,受入れの際には試験成績表や目視により品質を確認する。
- (2)目地砂が濡れていると十分に目地に充填されないため,乾燥した目地砂を使用する。目地砂の保管に際してはシートなどで覆うなどの処置を講じる。また,これによってごみや泥などの混入も防止できる。
また、これによってごみや泥などの混入も防止できる。 - (3)同様にインターロッキングブロックが濡れていると目地砂が十分に充填されないため,ブロックが乾燥していることを確認のうえ,目地砂の充填を行う。
- (4)敷砂の乾燥とインターロッキングブロックの雨水などによる濡れを防止するために,敷砂の敷きならしから目地砂の充填までの工程は一連の施工で行うと良い。
- (5)目地砂の充填は次の手順で行い,目地砂がインターロッキングブロック表面まで十分に充填されるまで繰りし行う。
- l)インターロッキングブロックの表面に目地砂を均一にまく。
- 2)ほうき,またはデッキブラシなどでブロック表面を掃くようにして目地砂を目地にすり込む。
- 3)目地砂の充填は,コンパクタの振動を併用すると効果的である。
- 4)車道の場合は目地砂の充填後に2次締固めを行う。目地砂が締固めの振動によってインターロッキングブロック表面よりも沈下するために再充填を行う。
- 5)インターロッキングブロック表面に残った砂は,きれいに取り除く。
接合部の処理
接合部の処理は、隣接する既設舗装とインターロッキングブロック舗装とのなじみをよくし、車両の振動緩和や歩行性の向上などを図るために行う。
解説
既設のアスファルト舗装との接合部には,プレキャストコンクリート製や現場打ちコンクリートやブロックなどの端部拘束物を用いてインターロッキングブロックの水平移動を抑える。端部拘束物とインターロッキングブロックの間を平たんに仕上げ,車両の走行や歩行の障害とならないよう施工する。
仕上がりの確認
インターロッキングブロック舗装が設計図書に指示されたとおり施工されていることを確認する。
解説
インターロッキングブロックの仕上がりを、次の事項により確認する。
- (1)敷設されたインターロッキングブロックに破損やひび割れがないこと。
- (2)目地砂が十分に充填されていること。
- (3)個々のインターロッキングブロック間に支障となる段差がないこと。
- (4)インターロッキングブロック舗装面の勾配が設計図書に指示されたとおりになっていること。
- (5)目地が通っていること。
- (6)視覚障害者誘導用インターロッキングブロックを用いた場合は、突起が視覚障害者に認識されるよう適切な高さになっていること。
交通開放
交通開放は,舗装端部のカッティング処理や目地砂の充填作業が完全に終了してから行うことを原則とする。
解説
- (1)施工が終了した場合の交通開放や,施工途中の一時的な交通開放は,舗装端部のカッティング処理や目地砂の充填作業が完全に終了してから行う。
- (2)施工途中で一時的に交通開放する場合,インターロッキングブロックと敷砂からなるインターロッキングブロック層と路盤との段差は,アスファルト混合物と角材などを用いて三角すり付け処理を行う。
- (3)交通開放時に三角すり付けを行った周辺のインターロッキングブロックは,沈下や段差を生じやすい。
したがって,施工を再開する際は,すり付け箇所のインターロッキングブロックと敷砂を約50cmの幅で撤去し,再度敷砂を敷きならしてからインターロッキングブロックを敷設する。
その他の施工上の留意点
インターロッキングブロック舗装の供用性能を長期間にわたって維持するためには付帯設備,縁石,マンホール周り,出隅・入隅などの施工や,敷砂層の排水処理などが重要なポイントとなるため,入念に施工することが必要である。
解説
(1)付帯設備、縁石周りにおける施工 付帯設備や縁石周りでは、路床、路盤の締固め不足や敷砂厚の過大などによる局部沈下が発生しやすいため、次の点に注意して施工する。
- 1)付帯設備や縁石は、設計図書に指定された仕上がり高さに仕上げる。
- 2)付帯設備周りの路盤は締固め不足となりやすいため,入念に締固めを行う。
- 3)付帯設備周りの埋戻しには良質な材料を使用し,十分に締め固める。
(2)付帯設備周りの排水処理
- 1)マンホール周りは十分に締め固めることが難しく、沈下が生じやすいため、良質の埋め戻し材を使用し、入念に締固めを行うなど、丁寧な施工が必要である。
- 2)マンホールなどの付帯設備周りは雨水が溜まりやすいため,目地からの浸透水を防ぐ目的で,付帯設備周り約5cmの範囲の目地を固化目地材によって固化する場合がある。この方法は,フラッグタイプなどの大きな寸法のインターロッキングブロックの場合,特に有効である。
- 3)目地砂の固化方法は、主に以下の2工法に分類される。
- ①液体固化剤による方法
- ②固化目地材による方法
目地砂を目地に充填した後,インターロッキングブロック表面にブタジェンやウレタンのプレポリマーなどの液体固化剤を散布してゴムレーキなどで目地にすり込み,目地砂を固化させる工法。
砂などの粒状材料に粉末バインダーをプレミックスした目地用材料をほうきなどで目地に充填した後、水を散布して固化させる工法。
(3)出隅・入隅の施工
敷設パターンにより,出隅・入隅の納まりにエンドブロックを使用できる場合とカットブロックを使用しなければならない場合がある。
カットブロックを用いる場合は,カットブロックはできるだけ大きくなるよう,一部の敷設パターンを変えることで小さなカットブロックが生じないように工夫する。
修繕
インターロッキングブロック舗装の修繕は,インターロッキングブロック舗装路面の性能やインターロッキングブロック舗装の性能が低下し, 維持では不経済もしくは十分な回復効果が期待できない場合に実施する。建設時の状態程度に復旧することを目的とするが,透水性などの新たな機能を付与する場合もある。
修繕は, 交通量や路床支持力など適用箇所の設計条件を把握したうえで, その破損状況に応じて発生原因を取り除くようにより行わなければならない。
解説
- (1) インターロッキングブロック舗装での修繕の例を表 7.5に示す。
破損の種類と原因 | 補修方法 | |
---|---|---|
わだち掘れ | 敷砂の品質不良 | 細粒化しにくい敷砂の再敷設 |
摩耗 | 摩耗したインターロッキングブロックの交換 | |
路床・路盤の沈下 | わだち部の路床や路盤の補修 | |
インターロッキングブロックの破損 | 角欠け、ひび割れ、表層剥離 | 角欠け、ひび割れ、表層剥離が生じたインターロッキングブロックの交換 |
平たん性の低下 | 段差 | 細粒化しにくい敷砂の再敷設 破損の状況に応じた路床や路盤の補修 |
局部沈下・陥没 | ||
不陸 | ||
インターロッキングブロックの移動 | 目地の広がり | 目地砂の再充填、または目地材の固化による補修 |
目地のラインの移動と開き | 細粒化しにくい敷砂の再敷設 | |
がたつき音の発生 (カタカタ現象) |
強化プレートでの補強 |
- (2)インターロッキングブロック舗装の修繕は、交通量や路床支持力など適用箇所の設計条件を把握したうえで実施する。特に,路床や路盤の支持力不足による構造的破損が広範囲にわたり生じている場合には,舗装構造の設計を改めて行う。
- (3) インターロッキングブロック舗装の破損は, 複数の原因が重なり合って生じている場合がある。このため補修では,それらの発生原因をすべて取り除くことができるように行う。
- (4) 新たな機能を付与する例として, 普通インターロッキングブロック舗装を透水性インターロッキングブロック舗装や保水性インターロッキングブロック舗装などにすることがあげられる。
- (5) 透水性インターロッキングブロック舗装において,空隙詰まりなどで透水機能が低下した場合の透水機能回復が困難方法には,高圧水を路面に噴射し,汚水をバキュームする方法などがある。機能回復後は目地砂を再充填する。機能回復が困難な場合には, 透水係数が1.0×10⁻⁴m/sec以上の透水性インターロッキングブロックで新たに敷設し直す。
補修
インターロッキングブロック舗装の補修は,インターロッキングブロック層を対象とした機能的な維持・修繕と, 路盤や路床まで含めた構造的な修繕がある。補修は, 補修箇所のブロックを撤去し,その破損原因を取り除いた後,所定の品質,形状のインターロッキングブロックを再敷設する手順で行う。
解説
- (1)インターロッキングブロック舗装の補修方法は,破損箇所のインターロッキングブロックを抜き取り, 敷砂を撤去後,破損状態に応じた補修工法を施し,再度敷砂と抜き取ったインターロッキングブロックを敷設して補修作業を終了する。この時,インターロッキングブロックに角欠けやクラックなどの破損が生じていないことを確認するとともに, インターロッキング ブロックの側面や裏面に付着した砂を十分に掻き落とす。
- (2)インターロッキングブロック舗装の補修手順
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- 1) 破損箇所の確認
前述した調査結果とこれをもとにした舗装の評価, 破損箇所の目視観察によって, 舗装の損傷の程度を確認する。 - 2) 補修方法の選定
当該舗装の破損に応じた補修方法は表 7.5を参考に決定する。 - 3) インターロッキングブロック舗装の補修手順
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① インターロッキングブロックの抜き取り
破損箇所のブロックをバール, 木ハンマ, マイナスドライバなどを用いて丁寧に抜き取る。最初に抜き取るブロックは, 隣接する インターロッキングブロック相互で強固にかみ合っている。そこで,抜き取り作業が容易でないので注意して行う。また,インターロッキングブロックを抜き取る面積と敷砂を撤去する面積は、破損箇所の面積よりもやや広めに行う。 - ② 破損箇所の補修
選定した方法で補修する。 - ③ 敷砂の敷きならし
破損箇所の補修が終了後, コテやパイプなどを用いて敷砂を敷きならす。この時,敷砂は余盛りを見込んだ厚さに敷きならす。 - ④ インターロッキングブロックの敷設
抜き取ったインターロッキングブロックが破損していなければ再利用する。インターロッキングブロックが破損している場合は新しいインターロッキングブロックに取り換え,所定の敷設パターンに合わせてインターロッキングブロックを敷設する。 - ⑤ 一次締固め
インターロッキングブロックを敷設した後,コンパクタを用いてインターロッキングブロックが動かない程度(安定した状態)に締め固める。 - ⑥ 目地砂の充填
敷設したインターロッキングブロック間の目地に,目地砂をほうきやデッキブラシなどを用いて充填する。 - ⑦ 二次締固めと目地砂の再充填
既存の舗装面との間に段差がなく, 路面が平たんに仕上がるようにコンパクタを用いて締め固める。これと並行して,目地砂の充填が不足している箇所に再度目地砂を充填する。 - ⑧ 検査
仕上がり状況を確認し, インターロッキングブロックの破損や段差,平たん性の不良あるいは目地砂の充填不足などの問題がなければ交通開放する。
- 1) 破損箇所の確認
- (3)インターロッキングブロック舗装の破損は,複数の原因が重なり合って生じている場合がある。このため補修にあたっては,それぞれの破損に対して破損原因を取り除けるように適切な対策を施す。
- (4)路盤の支持力不足に起因する破損
- ① 路盤の支持力不足が原因でわだち掘れ,インターロッキングブロックの破損、不陸などの破損が広範囲に生じていた場合には, 交通量区分と路床の設計 CBRをもとに修繕断面の設計を行う。既設路盤の等値換算厚が路盤の必要等値換算厚より小さい場合には、 必要な等値換算厚tが得られるように,所定品質の路盤材を用いて路盤を再構築する。その再構築は, 路盤を嵩上げするか, それが困難な場合には路盤の一部または全部を打ち換える, あるいは安定処理して行う。
- ② 局部的な締固め不足や品質不良などが原因で,わだち掘れ,インターロッキングブロックの破損,不陸, 沈下, 陥没などの破損が局部的に生じていた場合には, 品質不良の路盤材料を撤去して所定品質の路盤材料に入れ替えるなどして補修する。路盤は, 所定の支持力が得られるように充分締め固める。上層路盤は,敷砂厚さの過不足が生じないように基準高さの ±0.5cm以内となるように仕上げる。
- (5)路床の支持力不足に起因する破損
路床の支持力不足が原因でわだち掘れ,インターロッキングブロックの破損,不陸などの破損が広範囲にわたって生じている場合には, 路床の目標設計 CBRを設定して, 交通量区分をもとに修繕断面の設計を行う。目標の設計 CBRが得られるように, 良質な路床土の置き換えか, 安定処理などを施し, 必要な深さまで改良する。局部的な締固め不足や品質不良などが原因で, わだち掘れ,インターロッキングブロックの破損、不陸,沈下,陥没などの破損が局部的に生じている場合には,品質不良の路床土を植去して所定品質の路床土に入れ換えて補修する。
引用 『インターロッキングブロック舗装設計施工要領』2017年 初版 62頁-75頁,96頁-99頁より
社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会